かんたんな注意事項

心身不調の際に精神科・心療内科・メンタルクリニックを受診・通院するとき(あるいは、その前に)、あらかじめ念頭に置いたほうが良いと思われる事項を説明します。 また、医療機関では対応が困難なトラブル・生活問題や社会問題・犯罪被害についての相談窓口や法制度・社会資源などを簡単にまとめます。 [*順不同、思いつくままに書きますので、体系的ではありません。]

初診時には、根掘り葉掘り、思い出したくないことまで、質問される(かもしれない)。

この文章は長文になりますので、最初に結論を述べます(最後にも再掲します)。

  話したくないことは、初診時に無理に話さなくてもいいのです。 

 ただ、これだけは理解してください。初期治療方針は、治療反応性をみるためしばらく続きます。初期方針を誤ると、患者さんの病状を悪化させたり、不適切な処方により身体に無駄な負荷をかけたり、貴重な時間とお金を無駄にさせてしまいます。そのため、できる限り、診断の精度を高め、適切な治療方針を決める必要があります。尋ねる方は、無駄な質問で患者さんの内面を暴いているのではなく、適切な治療のために聞いていることを、わかってください。

 


 

内科や外科など、身体の不調を訴えて受診する場合、その症状が、

  • (1)いつから
  • (2)どんなふうに(どんなきっかけで)始まり
  • (3)どの程度、続いているか

をメインに問診を受け、その後、

  • (4)今までにどんな病気で治療を受けたことがあるか/健診で異常を指摘されたことはあるか
  • (5)現在、ほかに受けている治療、内服している薬はあるか
  • (6)家族に大病を患った人はいるか
  • (7)薬物・食物アレルギーの有無(検査・投薬前の確認)
  • (8)女性であれば妊娠・授乳の有無(検査・投薬前の確認)

などが問診内容になると思います(もちろん、専門外来であれば、もっと詳細な問診もあります)。

 

 身体科の場合、この後に、「症状に応じた各種検査」となり、その後、診断や治療につながります。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 精神科・心療内科の場合、「身体科における症状に応じた各種検査」が、「根掘り葉掘り」「踏み込んでくる」質問と受け取られかねない問診になります。

 

 「根掘り葉掘り」問診と受け取られるであろう内容としては、

  • (9)出生地、家族構成・同胞の有無
  • (10)生育歴、学歴、職歴、婚姻歴、(女性であれば出産歴)、現在同居している人間の有無など
  • (11)血縁者の精神科治療歴(自殺者の有無、問題飲酒者の有無など含む)
  • (12)本人の精神科治療歴・入院通院歴
  • (13)飲酒歴、違法薬物使用歴
  • (14)診断確定のための項目別問診

などになります。

 

 プライベートな内容である(9)~(13)については、話したくないこともあるでしょうし、思い出したくないこともあると思います。

 また、(14)については、内面に踏み込むような内容になるため、嫌な思いをされるかもしれません。

 

(9)出生地、家族構成・同胞の有無(数)

 育った家庭環境が人間に及ぼす影響を考えるとき、必要な質問になります。

 また、自立支援制度の申請をする際の診断書に、出生地や同胞の有無(数)を記載するのが一般的なので、初診時に予め尋ねておくという意味合いもあります。

(10)生育歴、学歴、職歴、婚姻歴、(女性であれば出産歴)、現在同居している人間の有無など

 環境への適応性や、躓きやすさ、それらの時系列は、診断を確定する上で非常に重要な要素です。また、周囲にサポートが得られる状態かどうかも、治療方針を決定する上で重要な項目です。このほか、病前性格と疾患は一定の関連性をもつので、この点も尋ねられるかもしれません。

 過剰適応や順風満帆さが健康の証とは考えていません(念のため)。

(10,11血縁者の精神科治療歴(自殺者の有無、問題飲酒者の有無など含む),13飲酒歴、違法薬物使用歴

 身体の病気でも精神の病気でも、好発年齢、ある一定の遺伝的な要素があります。また、飲酒や違法薬物は精神状態への影響がありますので、(10,11,13)の質問は必要になります。

(12)本人の精神科治療歴・入院通院歴

 これまでの診断、治療内容と治療反応性は、診断確定と治療方針を考慮するうえで、必要な内容です(以前の診断や治療を踏襲するとは限りません)。

(14)診断確定のための項目別問診

 いわゆるスクリーニング的問診、主診断の基準項目の確認、主たる診断以外に併発している症状・疾患(あるいは、併発しやすい症状・疾患)はないか、他の見落としてはならない重要な症状はないかを確認することも、必要なことです。

 

 こういった内容を初対面の相手に話さなければならないのは、非常に強いストレスがかかり、抵抗があると思います。初診で疲れてしまって、次からは通いたくないと思うかもしれません。

 冒頭の繰り返しになりますが、

 話したくないことは、初診時に無理に話さなくてもいいのです。 

 ただ、これだけは理解してください。初期治療方針は、治療反応性をみるためしばらく続きます。初期方針を誤ると、患者さんの病状を悪化させたり、不適切な処方により身体に無駄な負荷をかけたり、貴重な時間とお金を無駄にさせてしまいます。そのため、できる限り、診断の精度を高め、適切な治療方針を決める必要があります。尋ねる方は、無駄な質問で患者さんの内面を暴いているのではなく、適切な治療のために聞いていることを、わかってください。