かんたんな注意事項

心身不調の際に精神科・心療内科・メンタルクリニックを受診・通院するとき(あるいは、その前に)、あらかじめ念頭に置いたほうが良いと思われる事項を説明します。 また、医療機関では対応が困難なトラブル・生活問題や社会問題・犯罪被害についての相談窓口や法制度・社会資源などを簡単にまとめます。 [*順不同、思いつくままに書きますので、体系的ではありません。]

眠くなる薬は飲みたくない場合(しかし、向精神薬以外の治療法では効果がなかった場合)

 「夜はぐっすり眠りたい。でも、日中に眠くなるのは嫌だ。」「不安やストレスを和らげたい。でも、向精神薬を飲むと、ボーッとしてしまい、周囲から変な目で見られるのではないかと心配だ。」

 バリバリと働いてきた人ほど、そう思うようです。

 向精神薬は、精神刺激薬(覚醒作用を目的とした薬剤)と分類される薬剤以外は、多かれ少なかれ眠気の副作用は避けられない部分があります。

 

 対策としては(向精神薬以外の治療法と併用しながら)、

(1)できるだけ鎮静作用の少ない短時間作用型の向精神薬を、ごく少量から内服し、ゆっくりと調整していく

(2)体調が回復するまで一時的に休職する・職場での業務負荷軽減や配置転換を願い出る

(3)「花粉症の薬でも眠くなる」「鎮痛薬・風邪薬にも鎮静作用がある」など、向精神薬以外にも眠気を催す薬が数多くあることを考え、「治療のためにはやむを得ない」と割り切る

などがあげられます。

 

(1)できるだけ鎮静作用の少ない、できるだけ短時間作用型の向精神薬を、ごく少量から内服し、ゆっくりと調整していく

 この場合の注意点は、短時間作用型の向精神薬のうち、一般的な睡眠薬や抗不安薬は依存性・耐性などの問題点があるところです。また、抗うつ作用・抗不安作用などがあるSSRI・SNRI系の薬剤は依存性や耐性はありませんが、急に服薬をやめると中断症状が出現します。

 しかし、ちゃんとした減薬・処方調整という方法があり、決して「一度飲み始めたらやめられなくなる」薬剤ではありませんので、治療初期に警戒しすぎて病状を悪化させないようにしましょう。

 てんかんや器質性疾患による(あるいはその治療薬による)精神症状の場合や減薬・中止により病状の再燃・増悪を繰り返す場合は、長期間あるいは生涯にわたる服薬が必要になることもあります。

(2)体調が回復するまで一時的に休職する・職場での業務負荷軽減や配置転換を願い出る

 (私は、治療薬による副作用を呈している状態を「醜態」とは考えていませんが)「絶対に(周囲からボーッとしていると受け取られるような)醜態をさらしたくない」という思いの強い方は、一定期間の休職を考えてみてはどうでしょうか。あるいは、回復するまでは、極度の緊張感・瞬発的な判断力を強いられる業務を離れるという選択肢も考慮に入れた方がいいかもしれません。

 こういう助言をすると、「これまでのキャリアに傷がつく」(と上司に言われた)といった心配をされるかもしれません。しかし、そういう姿勢の企業・上司は、使い勝手のよい人材を都合よく利用(よく言えば活用)しているだけですし、上司は部下がメンタル面で休職すれば自分のマネジメント能力が低く評価されることを恐れているだけなのです。

 組織のために身を粉にして働いてきた(あるいは、身を粉にするほどではないが、就業規則を守って一定以上の成果を上げてきた)あなたを、たかだか2週間~数ヶ月間程度のブランクで「キャリア上やり直しがきかなく」させるような職場は、あなた自身の方から見限った方がいいかもしれません。

(3)「花粉症の薬でも眠くなる」「鎮痛薬・風邪薬にも鎮静作用がある」など、向精神薬以外にも眠気を催す薬が数多くあることを考え、「治療のためにはやむを得ない」と割り切る

 眠れない、食欲がない、イライラする、不安だ、やる気が出ない、などの状態が長く続いたり悪化するよりは、「まし」と考えてみる。「要は業務内容に支障が出なければいい」と考える。業務中に居眠りしたり、やらなければならない事項を思い出せないほどの鎮静作用でなければ、いいのではないでしょうか?

 病状が回復すれば、減薬・中止が可能ですから、周囲に目立つほどの鎮静作用は長くは続きません。

 そして、あなたの健康の「安全配慮」を怠った職場を思いやるより、あなた自身があなたの心身を守らなければなりません。