かんたんな注意事項

心身不調の際に精神科・心療内科・メンタルクリニックを受診・通院するとき(あるいは、その前に)、あらかじめ念頭に置いたほうが良いと思われる事項を説明します。 また、医療機関では対応が困難なトラブル・生活問題や社会問題・犯罪被害についての相談窓口や法制度・社会資源などを簡単にまとめます。 [*順不同、思いつくままに書きますので、体系的ではありません。]

抑うつ症状を引き起こしやすい身体疾患/身体疾患におけるうつ病の合併率

 

はじめに

 うつ病は、以下に示す慢性身体疾患では高頻度に併発します。また、うつ病により健康管理が困難となり身体疾患のさらなる悪化をきたすこともあります。下記に示す疾患で治療中の方は、抑うつ症状(不眠、食欲低下、抑うつ気分、意欲低下など)の出現に注意しましょう。

 また、狭心症などの虚血性心疾患(冠動脈疾患)や糖尿病では、抑うつ症状が病状コントロール低下や発症リスクの上昇を招くことがありますので、注意が必要です。

 うつ病以外の精神症状をきたす全身性疾患や脳神経疾患も数多くあります。治療経過が思わしくない場合は、身体疾患のスクリーニング検査を受けることをお勧めします。

 初診時に血液検査、脳波検査、画像診断検査などを施行するのは、身体疾患のスクリーニングが目的なので、必ず受けてください。

抑うつ症状を引き起こしやすい身体疾患

脳血管障害、神経変性疾患 脳卒中多発性硬化症パーキンソン病ハンチントン病認知症などの変性疾患
内分泌疾患 甲状腺機能亢進症または低下症、副甲状腺機能亢進症または低下症
自己免疫疾患 全身性エリテマトーデス、ベーチェット病
悪性腫瘍 悪性腫瘍全般(特に脳腫瘍、膵臓腫瘍)

 

身体疾患におけるうつ病の合併率

疾患 うつ病の頻度(%)
冠動脈疾患 16~23
内分泌疾患  
  糖尿病 8.5~27.3
  甲状腺機能亢進症 31
  甲状腺機能低下症 56
  Cushing症候群 66.6
  Cushing病 54
血液透析 6~34
がん 20~38
慢性疼痛 21~32
アレルギー疾患 18.9~32.5
膠原病  
  慢性関節リウマチ 13~20
  全身性エリテマトーデス 20~25
  全身性硬化症 46~50
  神経Behçet 30
神経疾患  
  脳卒中 27
  Parkinson病 28.6~51
  多発性硬化症 6~57
  てんかん 55
  Huntington舞踏病 41
  認知症 11
HIV 30.3
慢性疲労 17.2~46.4

(千田要一、他:臨床精神医学2006;35(7):927-933より)