かんたんな注意事項

心身不調の際に精神科・心療内科・メンタルクリニックを受診・通院するとき(あるいは、その前に)、あらかじめ念頭に置いたほうが良いと思われる事項を説明します。 また、医療機関では対応が困難なトラブル・生活問題や社会問題・犯罪被害についての相談窓口や法制度・社会資源などを簡単にまとめます。 [*順不同、思いつくままに書きますので、体系的ではありません。]

労働時間と健康(長時間労働と精神疾患との関連性)

 以下の文献より、重要箇所を抜粋します(下線筆者)。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2017/special/pdf/018-028.pdf(長時間労働と健康,労働生産性 との関係 黒田祥子 (早稲田大学教授)

  • わが国も,1996 年に 189 万人だった精神疾患の患者数は,2005 年の 265 万人2014 年には 318 万人と,メンタルヘルスに問題を抱える人が 趨勢的に増加傾向にある(『患者調査』(厚生労働省))。ちなみに,2014 年の 318 万人のうち,生産年齢に相当する 15 ~ 65 歳の患者数は 208 万人と,総患者数の 65%を占めており,メンタル不調者の増加は医療費の増大といった社会的コストだけでなく,現役世代の生産性低下というルート を通じて労働市場にも少なからず影響を及ぼしている可能性がある。
  • 長時間労働の職種ほど労災請求件数が多くなる傾向にあることも確認できる。
  • 管理的職種や専門的・技術的職種では,脳・心臓疾患となる確率に比べて, 精神疾患となる確率が高い傾向にある。
  • 1 日 11 時間以上あるいは週当たり 55 時間以上働いていた労働者は,その 5 ~ 6 年後のフォローアップ調査において大うつ病を発生している確率がより短い時間で働いていた労働者に比べて統計的に有意に高くなるという結果を報告している。
  • 経済学の分野でも,長時間労働がメンタルヘルスを毀損する可能性を報告している。
  • 個人の個体差や仕事の要求度・ 裁量性の違いをコントロールしたうえでも,週当たり労働時間が長くなるとメンタルヘルスが悪化 する傾向が認められることを明らかにしている。
  • 労働時間とメンタルヘルスとの関係は線形関係にあるわけではなく,週当たり労働時間が 50 時間を超えるあたりからメンタルヘルスが顕著に悪化する傾向が認められることもわかってき た。これは週当たり 50 時間という長さが,従業 員のメンタルヘルス確保の際の 1 つの参考値となりうることを示しているといえる 。
  • 『社会生活基本調査』の個票データを用いた筆者の計算に よれば,平日1日当たり10時間以上働くフルタイム雇用者 の割合(仕事の合間の休憩や食事時間,通勤時間等を除いた 実労働時間)は,この数十年間で趨勢的に増加傾向にあり, 2011年時点において,男性の44%,女性の19%に上っている。 これは,週休2日制とすると,週当たり50時間以上働く労 働者が相当程度存在していることを示唆している。
  • 労働者のメンタルヘルスは病気として診断されたり, 労災認定を受けたりした一部の人に限定された問題ではなく,継続して就業している人であっても 長時間労働によりメンタルヘルスが悪化している人が多く存在する